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大阪地方裁判所 昭和48年(モ)598号 決定 1973年3月26日

申立人

清田佳代子

外五四名

右代理人

佐々木哲義

外二四名

相手方

外七名

主文

当裁判所昭和四七年(ワ)第五、九三六号損害賠償請求事件について、申立人(原告)らに対し、いずれも訴訟上の救助を付与する。

理由

一、申立人らの本件訴訟救助申立の趣旨および理由は、本件記録に編綴してある昭和四七年一二月二六日付、昭和四八年三月一九日付各申立書および同日付申立補充書二通のとおりであるから、ここにこれを引用する。

二、当裁判所の判断

1、本件疎明資料によれば、申立人ら(但し、五九八号事件の申立人らについては、米持久作)はいずれもスモン病に羅患した者で、本案訴訟について勝訴の見込みがないとはいえないものであることが疎明される。

2、ところで、民事訴訟法第一一八条による訴訟救助は、経済的に恵まれない者についても、裁判所における裁判を受ける権利が奪われないようにするための制度であるから、同条に規定する訴訟費用とは、訴訟救助の対象となる裁判費用や、民事訴訟費用等に関する法律所定の費用等の厳密な意味における訴訟費用に限定もされるのではなく、訴訟の追行に伴つて、当然に出捐を必要とすることが推測される調査研究費、弁護士費用等をも含むと解すべきであり、訴訟救助を付与すべきかどうかは、これらの費用と申立人の資力とを対比して相対的に判断すべきものであるところ、本件疎明資料によれば、申立人らの大部分は、無職であり、また例外的に若干所得のある者が認められるけれども、その額が少額で生活を維持することができない程度か、そうでなくても、申立人本人のスモン病による治療費や、親族を扶養しなければならないための費用、借金の返済等の出費を必要とする状況にあり、これらを所得額から差引けば、漸く生活を維持できる程度にしか過ぎないこと、本案訴訟の準備追行、維持のためには、現在までにも、相当多額の費用を要しているところ、今後訴訟の進行に伴い、これら費用の出費がさらに増大することが予測される等の事情が疎明されている。

以上の疎明事実によれば、その余の申立理由について判断するまでもなく、申立人らが、いずれも民事訴訟法一一八条にいわゆる訴訟費用を支払う資力のない者にあたると認められるから、申立人らの本件申立を相当と認め主文のとおり決定する。(下出義明 藤井正雄 石井彦寿)

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